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修復の継ぎ目が語る記憶

記憶の形時間のデザイン風景を読む
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石段や柱に残る色の違いやくっきりした継ぎ目は、その建物が「いつ」「どこを」修復されたかを示す痕跡で、都市の記憶の選び方を物語る。

トランスクリプト

光化門をくぐって景福宮の中を歩くと、石段の色がパッと変わる場所が見えるんですよね。下の列は黒ずんで風化しているのに、その上から急に明るい石が続く。継ぎ目がくっきり見えるんです、なんかパッチワークみたいに。

この継ぎ目、実は復元の手法が見えているサインなんです。考古学的復元では、元の遺構をできるだけ残す一方で、欠けた部分は補う。でもその補い方が「元と同じに見せる」のではなく、「どこまでがオリジナルでどこからが再建か分かるように」作られることが多いんですよ。だから新しい部分は色が違ったり、石の切り口がシャープだったり、目地の詰め方がわざと変えてある。金属のピンや刻印が見えるケースもあります。

理由は二つあります。ひとつは後の研究や修理のために、元の材料を偽らないこと。もうひとつは、どの時代の何を残すかという選択を公共に示すことなんです。ここが大事で、継ぎ目を読むと「都市がどの記憶を選んだか」が見えてくるんですよね。戦争や植民地の被害で失われた場所を大胆に再建して国の顔にする選択と、傷跡をとどめておく選択とでは、街が自分の歴史をどう扱っているかが違うって感じです。

同じ読み方は宮殿だけじゃ使えます。例えば北村(ブクチョン)の韓屋を歩くと、柱の色で層が読めるんです。煤けた古い梁は暗くて角が丸い。対照的に新しい梁は木目が白っぽくて角が立っている。屋根瓦も、古い瓦は表面に苔やムラがあって、再葺きした瓦は均一でつるっとしている。入口の土壁の中に入れられた新しい漆喰の筋や、金具の色が違うところがあると、ああここは部分的に再生されているんだなと分かるんです。

面白いのは、観光案内には出てこない「どこを残したか」が、こうした目に見える継ぎ目で分かること。街を歩いていると、建物が語るレイヤーが見えてくるんですよ。実は、それが都市の記憶の選び方を教えてくれるんです。

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