ディープダイブ

白い骨となって立ち尽くすモミの森

気候変動植物自然環境保護山岳

頂上付近に広がる、白骨のように立ち枯れたチョウセンシラベの木々。気候変動によって雪の毛布を奪われた森は、世界中で愛される一方で、故郷でのみ滅びの時を迎えています。

トランスクリプト

あのロープの関門を越えて、息を切らしながら通り過ぎた、白鹿潭までの最後の道のり。そこには、別の怖さが待っています。

頂上が近づくにつれて、風景が突然、劇的に変わる場所があるんです。密林が途切れて、冷たくて薄い空気が頬を刺すようになると、あなたは気がつくはずです。自分が、ある種の墓場を歩いていることに。

強風が吹きつける斜面の低い茂みから、奇妙なものが無数に突き出しています。地元の人たちが「白骨」と呼ぶ、真っ白に漂白された木の骸です。済州の風のせいで、枯れても土に還りきれず、樹皮を剥がされ、強い紫外線で骨のように白く焼かれた木々。空中に固定された流木みたいに、そこに刺さっています。

でも、この白骨の群れを見て一番ぎょっとするのは——この木に、あなたも見覚えがあるってことなんです。

これはクサンナム。学名は Abies koreana。日本語ではチョウセンシラベと呼ばれるモミの木です。飾りにしなくても形がきれいで、葉の裏が白っぽくて、光を受けるとツリー自体が淡く発光するように見える。枝先につく小さな実も、妙に色が鮮やかで、目が離せない。観賞用として人気が高く、海外の園芸の世界にも広がっていきました。

この南の島の高い場所で見つかった木が、遠い国の冬を飾るようになった。きっかけは、漢拏山に入った一人の植物好きの神父が標本を送り、のちに海外の研究者が種を持ち帰ったことだと言われています。名前がつき、苗木が増やされ、いつの間にか「世界のどこにでもある木」になっていった。

けれど皮肉なことに、いちばん大事な場所——この山の上部の森が、静かな滅びの時間を迎えています。かつて濃い緑だった一帯が、赤茶色に変わり、やがて灰白色になっていく。

理由は気候変動、と一言で片づけたくなる。でも本当に致命的なのは、気温の数字というより「雪の時間」が失われていることです。

本来この木は、分厚い雪に守られて冬を越える植物でした。春まで残る雪が、ゆっくり溶けて、浅い火山灰の土をじわじわ濡らし続ける。あの雪は、水の貯金であり、根を守る点滴だった。

ところが冬が暖かくなって、雪ではなく雨が増え、積もっても早く消える。木は春を早く感じて動き出すのに、足元の土はもう乾いている。立ち上がった瞬間に、喉がからからのまま走らされるみたいに、森が弱っていくんです。

さらに、地面にはササの仲間が広がり、次の世代の芽をふさぎます。大人の木が減っていく足元で、子どもが育たない。だから白骨は、増えていく。

世界のどこかでは、この木が安全な庭で守られ、冬の部屋であたたかく飾られている。その一方で、誕生の場所にだけ、白い骨が残っていく。白鹿潭へ向かうあの最後の1時間は、その矛盾の中を歩く時間でもあるんです。

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