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火山の作り方が見える島

地形の文法風景を読む時間のデザイン
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なだらかな山の形、海岸まで続く黒い溶岩、点在する丘は、粘性の低い溶岩が繰り返し流れた火山の「作り方」を物語っている。

トランスクリプト

済州に着くと、まず海にまで続く黒い岩盤が目に飛び込んでくるんですよね。空港から車で海へ向かうと、ぽこぽこと小さな丘が点在して、畑は黒い石の低い塀で区切られている。白い波が黒い台地に砕けると、海辺だけ光のトーンが変わるんです。

実はここで見えている景色は、火山の「作り方」がそのまま残っているんです。済州の火山は玄武岩質の、薄くて熱い溶岩が何度も流れるタイプで、シールドとかドーム型と呼ばれています。溶岩の粘り気が少ないと、噴出口のそばでどかんと溜まらずに薄く広がる。だから斜面が緩やかになって、溶岩が海まで到達するんですよね。対照的に富士山型の成層火山は、粘性の高い噴出物がその場で積み重なるから急な円錐形になるわけです。

この作り方の違いは、歩いたときにすぐ分かります。漢拏山(ハルラサン)は標高1950メートルありますけど、登りは長くゆるやかで、急なガレ場や切り立った稜線が少ないんです。富士山みたいに砂礫で足を取られる感じがあまりなく、どちらかというと長い坂道を進んでいく感覚っていうか、そんな感じなんですよ。

沿岸に目を向けると、溶岩が海に直接流れ込んだ痕跡がそのまま残っているのが分かります。柱状節理の断崖や、流れた溶岩の通り道が固まってできた洞窟が点在する。ちなみに、マンジャングルの溶岩洞窟は全長およそ7キロのトンネル状の跡で、流れた溶岩の“道筋”がそのまま残っているんです。っていうか、写真で見るより実物の黒い床の迫力が強いんですよね。

人の暮らしにも溶岩の痕跡が染み込んでいます。やっぱり周囲に転がる黒い石はそのまま石垣や基礎に使われるので、畑が黒い塀で細かく区切られている。溶岩が広く薄く広がったことで平らな耕地が作られ、みかん園が黒い石の縁取りに守られている風景が続くんです。

大事なのは、こうした外見から「どんな噴き方をした火山なのか」が直感的に読めることです。黒い海岸を見ればここまで溶岩が流れたと分かるし、ぽこぽこ並ぶオルム(小さな火山丘)を見ると、主山の周りで何度も噴火が起きたことが想像できるんですよね。

似た作り方は世界にもあって、ハワイが典型的な例です。ハワイでも熱く流動性の高い溶岩が繰り返し海まで流れ、黒い台地や洞窟を作り出している。済州の黒い床とハワイの溶岩台地を比べると、作られ方の共通点がはっきりするんです。

だから済州では、黒い海岸、ぽこぽこのオルム、そしてなだらかな登り—この三つを見るだけで火山の「作り方」がそのまま読めるんですよ。景色の背後にある地質の物語が、いつもの道や畑にすっと溶け込んでいるって感じなんです。どう見えるかが変わると、済州の景色はもっと面白くなるでしょう。

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