北漢山を歩いていると、登りのリズムがちょっと変わっているんですよね。手をついて一枚岩をよじ登るような短いスラブが出てきて、次の瞬間は石段が一気に続く。で、今度は城壁沿いの平らな道になって、景色を眺められる――そんな断続的な山道が交互にやってくるって感じです。
原因は二つ重なっているんです。ひとつは花崗岩の尾根。大きな岩の塊が稜線上に並んでいて、道はその凸凹を避けるか、乗り越えるかのどちらかになる。もうひとつは北漢山城という山城が稜線に沿って築かれていること。城壁が尾根の骨格をそのままなぞっているので、道も稜線をなぞる形になっているんですよね。
だから登り方が「稜線をつまみ食いする」ようなテンポになるんです。短い全力の登り、階段で息を整える瞬間、城壁で座って眺める時間、また次の岩峰へ取り付く。視界は頻繁に開くから、頂上に到達する一回の達成感よりも、その合間ごとの小さな景色の切り替わりが印象に残るんです。
人の動きも変わります。グループは細かくばらけたり、またまとまったりする。城壁の段差や岩の上で休む人が多くて、山の中なのに「区切り」がたくさんあるんですよ。やっぱりそこに歴史の痕跡があると、歩き方まで変わるんだなと感じます。
日本の山だと、里山や修験の道で森をひたすら登って一本の頂上へ向かう流れが多いですよね。北漢山はそれと違って、尾根の上をコツコツ渡る登りかたなんです。
同じリズムは、たとえば仁王山(인왕산)でも見られます。ソウルの城郭が岩の尾根に沿って延びていて、短いスラブ、城壁沿いの平場、ぱっと開ける市街地の眺めが交互にやってくる。都心のすぐそばで、同じ「尾根+壁」の組み合わせが生むテンポが体験できるんですよね。
結局、北漢山の面白さは「登ること」そのものだけじゃなくて、稜線をつなぎ直すリズムにあるんです。歩いていると、岩と石段と城壁が順番を決めて、山全体がひとつのペースメーカーになっているのが分かりますよ。
