西村(ソチョン)の細い路地を歩いていると、まるで建物の壁が、その土地の年輪のように見えてくるんです。昔ながらの韓屋の黒い瓦屋根の隣に、銀色のトタンが継ぎ足されている。土壁のひび割れを、白いセメントが四角く埋めている。古い木枠に、ぴかぴかのアルミサッシがはめ込まれている。
この継ぎはぎだらけの風景は、単に古いからではありません。「修繕の層」とでも言うべき、この地区の時間の積み重ね方そのものなんです。
家は、一度にすべてを新しくするのではありません。壊れたところだけを、その時代に手に入るありふれた材料で、少しずつ直してきた。だから、建物の表面には、戦後の応急処置の跡、80年代の近代化の痕跡、そして最近のリノベーションのタッチが、地層のように重なっているんです。
瓦の色の違い、セメントの質感、窓枠の素材。その一つ一つが、「この家はいつ、誰によって、どのように手入れされてきたか」を語る手がかりになります。長く住むお年寄りは部分的な補修を繰り返し、新しく入ってきたカフェのオーナーは外観だけをモダンに塗り替える。その判断の違いが、路地の表情を豊かにしているんですね。
これは、計画的に景観が統一された익선동(イクソンドン)のような場所とは対照的です。西村の魅力は、その不揃いさの中にあります。路地の壁に刻まれた無数の継ぎ目をたどれば、そこに住んできた人々のささやかな暮らしの営みと、この街が生き抜いてきた時間の重みが、静かに浮かび上がってくるんですよ。
