ディープダイブ

溶岩が刻んだ年輪

地形の文法時間のデザイン風景を読む
4

洞窟の壁に残る帯状の模様や段差は、溶岩が流れた時間の順序や勢いを記録した「年輪」で、火山の活動履歴を教えてくれる。

トランスクリプト

溶岩洞に入ると、まず目に入るのは、壁にびっしり刻まれた水平の段差と帯状の模様なんですよね。
暗がりに角度のある光が差すと、黒く光るガラス質の帯と、赤茶けたざらついた帯が縞になって浮かび上がるって感じです。
段は幅が広くて座れるようになっているところもあれば、ほんの縁だけ残っているところもありますよ。

この段と帯。実はこれ、溶岩が流れたときにできた“流れの年輪”なんです。
どういうことかというと、溶岩が外側から先に冷えて皮のように固まり、内部はまだどろりと流れている状態が続きます。
流れが弱まったり、いったん止まったりすると、その時の表面が硬く残ってしまうんです。で、また流れが減ると別の高さに新しい皮ができる。そうやって時間ごとの“水線”が壁に刻まれていくわけです。

大事なのは、このベンチの高さや幅が、洞内の流出の時間順と性格を教えてくれる点なんですよね。
一番高い段は最初に溜まった高さの痕跡で、下の段ほど後の段階。幅が広ければ同じ水準で長く止まっていた可能性が高い、細かく刻まれていれば脈が断続的に来ていることを示唆するってわけです。
表面のテクスチャーも意味があって、つるっと光る層はゆっくり流れて冷えた“皮”、ざらつく層は早く冷えて粉っぽくなった部分、といった違いが見えますよ。

万丈窟(만장굴)に入ると、その読み取りがとても実感できます。
入口から数十メートルのところに、横一列に並ぶ三段のベンチがあって、上段はつるっと黒く光り、下段にいくほど粒が粗く赤みを帯びているんです。
幅が広い上段には小さな砂や落ち葉が溜まっていて、そこが長く露出していた証拠になっているんですよ。観光経路を歩きながら帯に沿って進むと、洞の“活動の履歴”が横に広がって見える、そんな感じです。

ちなみに、同じ読み方は洞だけでなく地表の溶岩台地でもできることが多いです。
海岸近くの溶岩の縁や、オルム(오름)の斜面に残る段差にも、流れの段階が横に刻まれているのが見えますよね。
日本にも溶岩洞はありますが、済州は溶岩流の量や繰り返し方、あと海風の影響で段がよりはっきり出ることが多いんです。

これで分かるのは、洞窟がただ「古い」だけの場所ではないということです。
壁のベンチと帯を追うと、噴火がどう脈打っていたか、どのくらいの時間止まったか、流れが速かったのか遅かったのか—そうした時間の流れが目の前に横たわっているんですよ。
静かな黒い石の間に、実は時間の記録が積み重なっている。そう気づくと、洞の見え方が少し変わるはずです。

落ち着いた光の下で帯の連なりを眺めると、溶岩が刻んだ年輪のように、火山の時間が静かに読めるんです。どう感じるかは人それぞれですが、けっこう面白いんですよね。

次のストーリー

場所を探索

Locked
巨大な溶岩洞窟
Locked
済州

巨大な溶岩洞窟

Upgrade to unlock this place

済州島の巨大な溶岩洞で、冷涼な空間を歩きながら「火の川」の跡と地球のダイナミックな歴史を体感できる場所。

🌳自然Upgrade
完全ガイドを見る